東京大学物語

日本公開年:2005年
ソフト・オン・デマンド
発売日:2006-10-19

原作は、「ビックコミックスピリッツ」に10年連載され、単行本発行部数が1,500万部を超える大ヒット漫画。原作者が監督をしたというので話題になった。
主人公・水野遥は小さい頃から変人扱いされ、邪険にされてきたトラウマから、恋愛に臆病な女子高生。
遙はある日、同じ学校に通う村上直樹に告白され、付き合うようになる。
知能指数300の頭脳を持つ村上は「日本一である」という理由だけで、で東京大学進学を志望する高校生。遙は当初地元大学の教育学部を志望していたのだが、村上の影響を受け、自分も東大を受けると言い出す。簡単に受かる大学ではないと諭す村上だが、遙は村上と同じ大学に行きたい一心で熱心に勉強し、東大合格を果たす。ところが村上は、遙という立派な彼女がおり、しかも東大受験前日にもかかわらず、彼のことを好きだというクラスメートと、一晩中SEXしてしまう。
寝不足で東大受験に臨んだ村上だが、結果は不合格。早稲田に進んだものの、どうしても東大を諦めきれずに「仮面浪人」生活を送る村上と、東大に合格し、キャンパスライフを謳歌する遙との間には、いつの間にかすきま風が吹くようになり… 
アダルト映画に、ラブストーリーの要素を加えた映画である。原作はSEXシーンてんこ盛りで(一話が丸々セックスシーンのみというエピソードという回もあるそうだ)、その意味では期待を裏切っていない。ただし、物語終盤に出てくる遙と村上が結ばれるシーンは、ちょっと期待はずれ。遙役の女優はバストトップもヘアも見せず、絡みのシーンも物足りない。
ヒロインを演じた三津谷葉子ら、演技陣は熱演していると思う。原作での遙は巨乳の持ち主で、元グラビアアイドル出身の三津谷が選ばれたのは、彼女自身のイメージが遙に近いからかも知れないが、恋する乙女役ははまっていると思う。雪の中、他のオンナに夢中になり、自分に振り向かない村上を思う表情は、見ていて切ないものがある。AV女優の範田紗々が出演しているのは、この映画の配給元がAV映画制作会社と関係があるからだろうが、演技は下手ではないと思う。
この映画の評価が高くないのは、ラストで監督本人が出てくることである。映画の中では、この作品は監督(原作者)のファンの一人が、この作品の元になった原稿を直接原作者に売り込み、これがきっかけになってこの作品が生まれ、大ヒットし、映画化されたという設定にされているからと思われる。しかも映画の中では、ファンが持ち込んだ原稿を、書いた当人の趣旨をねじ曲げて雑誌に連載し,アイディアを持ち込んだ当人から抗議されるシーンが出てくる。もしこれが事実だとしたら、道義的な問題が発生する。実際、ネット上の感想も「監督は、自分が映画に出たいからこういう設定にしたのだ」という意見が多く見られる。「俺は大ヒット漫画の原作者だ、このくらいやってもいいだろう」という監督(原作者)は醜悪な美意識が透けて見え、非常に不愉快だった。
大ヒット漫画を原作者が監督するというので話題になったが、監督本人が出演したこと、ラストの展開があまりにも自己中心的で、せっかくの余韻がぶちこわしになった印象は否めない。思い入れがある作品を自分で監督したかったのだろうが、ここはプロの監督にとらせるべきではなかったか。

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