「NHK音楽祭2014 第2日」

NHK音楽祭2014 2日目の演目は、R.シュトラウスの歌劇「サロメ」が、ゲルギエフ指揮マリインスキー劇場管弦楽団らによって上演された。
サロメ役を歌ったムラータ・フドレイの経歴については、Web中を探してみたのだが何もわからなかった。他の歌手もほぼ同様である。
もっともネット上にデータが上がっていないだけで、パンフレットには詳しい経歴が出ているのだろう。
&マリインスキー劇場にいては皆様もよくご存じだと思われるので、ここでは触れない。

ムラーダ・フドレイ(サロメ)
(ヘロデ王)
(ヘロディアス)
(ヨカナーン)
水口 聡(ナラボート 護衛隊長)
山口 牧子(ヘロディアスの小姓)
(兵士)
(兵士)
岡 昭宏(カッパドキア人) 他

ワレリー・ゲルギエフ(指揮)
マリインスキー劇場管弦楽団
2014年10月17日 NHKホール

NHK音楽祭20142日目 プログラム

作品54(

この作品は前作の歌劇「火の危機」発表後、この作品と対になる一幕もののオペラを構想したことにはじまるといわれている。「サロメ」の物語自体は新約聖書のエピソードの一つだが、オスカー・ワイルドはこの話を戯曲にする際、予言者の生首に少女サロメが接吻をするという、世紀末的退廃芸術が漂う作品にした。オペラの台本はこの戯曲をもとに、ヘドヴィヒ・ラハマンがドイツ語に翻訳したものを採用した。音楽は1903年~1905年にかけて作曲され、1905年12月ドレスデン宮廷歌劇場(現:ドレスデン州立歌劇場)において、エルンスト・フォン・シェーフの指揮、ヴィルムヘルム・ヴィンクの演出で初演された。
音楽は前奏なしの4場構成で、演奏時間もシュトラウスの他のオペラよりも短い(約2時間)。しかしサロメ役の歌手は最初から最後までほぼ出ずっぱりのうえ、少女の初々しさ、大人の女性が持つ狂気じみた淫蕩さとドラマティックな声量という相反する要素、さらには終盤の長いバレエを踊りきる能力を求められる。そのためここのオペラが成功するかどうかは、ドイツ・オペラきっての難役であるといわれるサロメ役の出来にかかると言っても過言ではない。先述の通りタイトルロール(題名役)に要求される能力があまりにも過酷なため、終盤に登場するバレエの場面では、本職のバレリーナが起用されることもある。

第一場 ナラポートがサロメの美しさをたたえるところから始まる。だがヘロディアスの小姓は、彼女をあまり見ない方がいいと警告する。それでも彼はサロメを賞賛して止まない。

第二場 サロメが、宴会の雰囲気に我慢できず外に出てくる。彼女は宴会の出席者を「大嫌いだ」と罵るが、その理由は劇中では明かされない。兵士がサロメに、ヨカナーンが来たことを告げるが、サロメは彼女のことを「母の悪口を言った人だ」と嫌う。ヨカナーンはは年寄りなの?と質問するサロメに「若い男です」と答える兵士。ヨカナーンに興味を持ったサロメは、彼にあわせろと駄々をこねる。サロメと兵士のと間で押し問答があり、外にいたナラポートにもヨカナーンとの対面を要求する。執拗なサロメの要求をナラボートは断り切れず、ついにヨカナーンとサロメは対面する。

第三場 宴会場に鳴り響く力強いホルンとともにヨカナーンが登場する。彼は早速説話をはじめるのだが、その内容をサロメは理解できないどころか、母親の悪口を言われたと激怒する。ヨカナーンの話はイエス・キリストの説教で、彼はヘロディアスの行為を「姦淫の女」と断罪しているのだ。ヨカナーンの説法を聞いて怒りに震えるサロメを、何とかなだめすかそうとするナラボート。そのうち彼女はヨカナーンに興味を持つが、ナラボートはサロメがヨカナーンと関わりを持つことに反対する。ヨカナーンも、サロメに対する嫌悪感を隠さない。そりゃそうだろう、自分の母親を「姦淫の女」と断罪する男に恋心を抱くこと自体、真っ当な神経とは思えない。サロメは何を思ったのか、彼に「あなたの体が好きだ」と逆ナンを開始、ありとあらゆる言葉で彼の体を褒め称え、体に触らせろというが、ヨカナーンはサロメを侮蔑する態度をとり続けるのだが、王女は「預言者」をあの手この手で口説き落とそうとする。このへんの語彙と表現力の豊かさが、本当に素晴らしくうらやましいが、サロメが繰り出すあの手この手のナンパ攻勢に動じないヨカナーンの精神力にも驚かされる 。願いが聞き入れられず、サロメの声と表情は次第に狂気の表情が滲み出てくる。ヨカナーンは己の罪を悔い改めよと説得するが、半ば狂気の域に入ったサロメの耳には届かない。ぶち切れたヨカナーンは「呪われた者」とサロメを罵る。サロメを止めきれないと思ったナラボートは、とうとう自殺してしまう。

第四場 ナラボートの自殺に衝撃を受けるヘロデ王がサロメを呼び、あの手この手でサロメを懐柔しにかかる。ヘロディアスは「私と娘は王族の血が流れているが、あなたは盗賊じゃないの」と妻とユダヤ人に罵られたヘロディアスはかんしゃくを起こす。遠くから届くヨカナーンの声に恐れおののくヘロデ王。ナザレ人が、ヨカナーンのことを賞賛する発言をするが、ヨカナーンはヘロディアス王への罵倒をやめない。ヘロデ王はサロメに踊ってくれと懇願するが(その理由は劇中で明らかにされない)、サロメは容易に首を縦に振らない。お前の欲しい物を何でもやるというヘロデ王に根負けしたのか、サロメは宴会場で踊り出す。彼女の踊りを父親が褒め称え、欲しいものを聞かれたサロメの答えは、よりによってヨカナーンの首だった。それだけは出来ないから勘弁してくれと懇願するヘロデ王に対し、妻であるヘロディアスは自分の母親の悪口を言ったのだから当然だという態度をとる。狼狽したヘロデ王は、娘の気を変えようと、高価な装飾品でごまかそうとするが、娘は「ヨカナーンの首が欲しい」といって譲らない。必死になってヨカナーンを助けようとするヘロデ王だったが、娘の意思はかわらない。杯に注がれたワインと指輪が消えていることで、不吉な予感を感じるヘロデ王、娘の要求を喜ぶヘロディアス、ヨカナーンの生首を持ってこいと命じるサロメ。ヨカナーンの生首を見た彼女は、恍惚とした表情を浮かべる。そもそも、自分の気持ちを拒んだという理由で他人の生命を奪い、奪ったばかりの生首に接吻しようという女の気持ちは、常人の神経にはとうてい理解しがたい。首だけになったヨカナーンに「どうして私を見てくれないの?目を開けてちょうだい」と語りかけ、周囲を凍り付かせるサロメ。あげく(ヨカナーンの首を)犬や鳥にくれてやる、犬が食べ残せば、鳥がついばむでしょうなどと言い始める。首を刎ねたばかりだというのに、なおもヨカナーンの体を、顔を褒めたたえるサロメは、間違いなく重罪人だろう。それ以前に、精神病院にぶち込まれるか。「私を見ていたら愛していたはず」だなんて、自己愛もここまで来たらなんと表現したらいいのだろう。ヘロデ王が「この娘は化け物だ」といったのは当然だが、それでもヘロディアスは娘を擁護する。不吉なことが起きるぞと恐れおののくヘロデ王。現無主目の常軌を逸した行動と発言に、さすがのヘロデ王も我慢の限界に達し、親衛隊に「あの女を殺せ!と命じる。サロメは捕らえられ、そこで幕が下りるのであった。

佐々木典子は、1958年大分県生まれのソプラノ歌手。武蔵野音楽大学卒業後にオーストリアに留学。モーツァルテウム音楽大学オペラ科を首席で卒業後ウィーン国立歌劇場オペラスタジオで研修を積んだ後、1986~91年まで同歌劇場の専属歌手を務める。帰国後は東京に機会の舞台で活動するかたわら、東京芸大で後進の指導に当たる。
千葉かほるは桐朋学園大学ピアノ科を卒業後、文化庁派遣研修員として国立カールスルーエ音楽大学(ドイツ)に留学、同大学リートかを最優秀の成績で卒業。現在は演奏活動のかたわら、東京芸大及び青山学院女子短大で教鞭を執る。

コンサート・プラス プログラム

歌劇「カプリッチョ」作品85から「最後の場」(R.シュトラウス)

(ソプラノ)
(ピアノ)
2012年3月17日 津田ホール
コンサート・プラスは、R.シュトラウス最後のオペラになった「カプリッチョ」から最後の場面。
この作品は1941年~42年にかけて作曲された、R.シュトラウスの最後のオペラである。原曲はサリエリのオペラ・ブッファ「まずは音楽、それから言葉」の翻案であり、台本は作曲者及びこの作品の初演指揮者だったクレメンス・クラウスが共同で執筆した。初演は1942年10月、バイエルン国立歌劇場で行われた。
二人の恋人から求婚された伯爵夫人の心境を、切々と歌い上げる歌唱とピアノはすごいと思う。

このエントリーをはてなブックマークに追加
はてなブックマーク - 「NHK音楽祭2014 第2日」
Share on Facebook
Bookmark this on Google Bookmarks
LINEで送る
Pocket